ネット上のがん情報、冷静に見極めを!
ネット上には、がん関連の膨大な情報があふれている。だが、すべてがエビデンスレベル(科学的根拠の信頼度)の高い情報とは限らない。特にがん患者に向けて発信される情報やサイトの中には、物品購入へ結びつける紛らわしい販売促進の情報も少なくない。それを十分理解した上で、情報を冷静に見極める心構えが大切だ。
がん専門サイトのひとつに「週刊がん もっといい日」(運営・日本医療情報出版)がある。1999年に創刊した紙媒体の月刊誌が、2006年にウェブに移行し、週1回の情報更新を行っている。
サイト内には特集記事のほか、がん関連書籍リスト、セミナーやイベント情報、患者会リスト、闘病記、放射線治療施設や緩和ケア病棟施設の一覧などを掲載。希望者には毎週木曜日に無料メールマガジンを配信している。
扱う情報には、従来の手術・薬物・放射線の3大療法に限らず、免疫療法や健康食品などを用いた代替補完療法などの動向も伝えている。
編集長の山本武道氏(麻布大学生命・環境科学部非常勤講師)は編集方針をこう説明する。
「できるだけ幅広い情報を取り上げて、ひとつでも多くの選択肢になればと思っています。例えば3大療法以外の治療法のリポートなら、現時点でどこまでエビデンスが出ているのか提示して、読者に判断してもらう」
メールマガジンの登録から推定すると、読者の7-8割はがん患者とその家族。ときどき切実な問い合わせが届くという。
「多いのは、余命宣告をされて、『延命できるなら、他の医者にかかりたい』と紹介を求めるもの。ほとんどがセカンドオピニオンを受けている方です。でも、こちらから特定の医療機関を紹介することは一切受け付けていない。結局は、患者会や相談窓口、セミナーなどの情報を伝えるぐらいしかできません」
切羽詰まったがん患者の場合、あまり深く考えず、安易に情報に飛び付きやすい。注意したいのは個人情報の管理だ。
「運営先や発信元がはっきりしないサイトも多い。住所や電話番号の明記がなく、連絡方法がメールだけというのには注意が必要です。情報収集には、最終的に患者さんご本人、ご家族が判断しなければなりません」
ネット上の情報は玉石混交。得た情報をもとに行動する場合は、患者なら事前に主治医をはじめ複数の人の意見を聞くことが鉄則。がん情報は上手に活用しよう。
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